今年度から小学校では学習指導要領が完全実施となった。領域として,外国語活動は,第5・6学年で必修化され,スキルを習得することを第一の目的とせず,コミュニケーションに対する積極的な態度の育成を重視し,コミュニケーション能力の素地を養うことを目標としている。その際,児童を最も理解している学級担任が中心となって授業を進めていくこととなっている。
学習指導要領の趣旨から考えると,学級担任が各教科や他領域と同じように,負担なく進めることができる課題解決型のプロジェクト(単元)型の授業内容が適していると考えられる。本書では,児童の主体的・創造的な学びを教師が支援していく様々な提案が活動(指導)案によって示されている。具体的には,年間35時間の外国語活動を1時間ずつ,単発的・並列的に進めるのではなく,児童の興味や思考の連続性を考え,単元としてまとまりを持った活動を,年間を通して進められるカリキュラムと,それぞれの単元の活動案が紹介されている。評価についても,方法,評価規準例や記述例などを提示し,学級担任が評価する際の参考となる。
また,学級担任が授業を進める上で不安であったり,危惧されたりする,音声指導や児童の音声練習のために,2人のネイティブスピーカーによる英語表現を録音したCDを2枚,スクリプトと共に付属している。加えて,巻末には,各プロジェクトの中で音声練習のためのゲームやクイズに使う小型カードがついておりコピーして使うこともできる。
さらに,第5・6学年に繋がる第1~4学年の単元や,特別支援学級の児童を対象とした活動も紹介されており,この1冊で,年間の外国語活動を無理なく進めていくことができると考えられる。
英語教育学が専門の大学教員と小学校教員が,理論と実践が融合させた共著である。
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